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代表 ブログ - 最新エントリー

平成22年10月1日より「金融ADR制度」が導入され、第二種金融商品取引業者の皆様も、認定投資者保護団体への利用登録や業務方法書の変更等の手続を既に終えられていることと思います。

ところで、業務方法書に記載した「苦情処理措置」及び「紛争解決措置」の内容については、契約締結前交付書面(金融商品取引法第37条の3)にも記載する必要があります(金融商品取引業等に関する内閣府令第82条第15号)。

(参考例)

●当社への連絡方法及び苦情等の申出先

 電話番号 XX−XXXX−XXXX
 eメール XXXX@XXXXXXX

●苦情処理措置及び紛争解決措置について

 当社は、特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター(連絡先:XX−XXXX−XXXX)を利用することにより、金融商品取引業等業務関連の苦情及び紛争の解決を図ります。

上に記載したものはあくまでも「参考例」であって、実際には各業者の業務方法書の内容に従って記載する必要がありますのでご注意ください。

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TMKへの譲渡人の告知義務

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2010-11-10 7:20

特定目的会社(TMK)で物件を購入する場合、売買契約書に以下の条項を盛り込む必要があります。

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第●条(告知義務)
売主は、資産の流動化に関する法律(平成10年6月15日法律第105号)第199条に規定される重要な事項(有価証券届出書等(証券取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含む。)第2条第7項に規定する有価証券届出書その他資産の流動化に関する法律施行規則(平成12年総理府令第128号。その後の改正を含む)第89条において規定する書類をいう。)に記載すべき重要な事項)について知った場合には、遅滞なくその旨を買主に書面により告知するものとする。
------------------------------------------------------------------

これは、資産の流動化に関する法律の規定(第199条)に基づくものであり、このような条項を盛り込んでいないとTMKで物件を購入することはできません。

実際、金融庁のホームページで公表されている事務ガイドラインの中でも、チェックリストの中で「特定資産譲受契約書に、譲渡人が当該資産に係る資産対応証券に係る有価証券届出書等に記載すべき重要な事項について譲受人たるSPCに告知する義務を有する旨の記載があるか」との記載があり、売買契約書に上記の条項が盛り込まれていない場合には、業務開始届書が受理されないことになります。

しかし、売主(オリジネーター)にこの条項を入れることを求めると、必ずと言ってよいほど「当該特定資産に係る資産対応証券に関する有価証券届出書等に記載すべき重要な事項」について問い合わせを受けるのですが、これについて明確な規定が無いのが実情であり、説明に苦慮することがしばしばあります。

金融商品取引法では、企業内容等を開示させて投資家の保護を図る目的で、株式や社債等当該有価証券の発行主体に対し、有価証券届出書を作成して財務局へ提出すること、さらに投資家に対して目論見書を交付することを義務付けています。

優先出資や特定社債によって投資家から資金を調達するTMKにも当然この義務があります。

しかしながら、TMKというのは単なる「器」に過ぎないため、有価証券届出書や目論見書に記載すべき事項を能動的に調査することは期待できません。

そのため、TMKが取得する物件の内容を最も把握している売主に情報を提供してもらい、それを有価証券届出書等の記載へ反映させようというのが法の趣旨です。

どのような事柄について告知する義務を負うのかを具体的に挙げるのは困難なのですが、土壌汚染等の物理的な瑕疵、他人の権利の存在等の法律的な瑕疵、あるいは第三者からの苦情・クレーム等が考えられます。

これらについて、売主が「知ったとき」には、買主であるTMKへ告知しなければならないということです。

これらの事柄については、売買契約書の容認事項や重要事項説明書に記載されているのが通例ですので、売買契約書に告知義務の条項を加えたとしても、売主に通常の売買以上の負担を強いることにはならないと思います。

もちろん、契約締結時にTMKへ告知しなかった事実を後日知った場合には告知する必要がありますが、決済前であればともかく、決済後にそのようなことはあまり考えにくいでしょう。

なお、この規定は売主に情報提供の義務を課すだけであって、瑕疵担保責任や表明保証とは別次元の話です。

したがって、売買契約書で売主の瑕疵担保責任を免除している場合には、瑕疵について売主が責任を問われることはありません。

(もっとも、瑕疵担保責任に関しては、売主がその瑕疵の存在を知りながら買主に告げなかった場合には、たとえ売買契約書で売主の免除を規定していても無効になります。)

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以前「社内記録」の重要性というテーマで記事を書きましたが、今日はその続きです。

「金商法が施行されてから、書類ばかり増えて大変だ」

という現場の声が多いのも確かですが、やはり記録を残すことは非常に重要なことなので、営業担当者を含めた会社全体に周知徹底していかなければなりません。


「社内記録」は、顧客への対応が適切に行われているかを事後的に検証できるようにするために作成が求められるものです。

もっと端的に言ってしまえば、金融当局による検査が入ったときに、きちんと説明ができるようにしておくということです。

「金融商品取引業者等検査マニュアル」でも、

取締役等は、取締役会に限らず、業務の運営等に関わる重要な会議等に関する会議録を適切に作成・保存しているか

という記述があり、検査の際のチェックポイントの一つとなっていることが窺えます。


重要なことは、議事録や稟議書を形式的に作るということではなく、ある行為・行動を行った「経緯」「判断理由」をしっかりと記録しておくことです。

たとえば、ある契約書が保管されているとして、「その契約がどういった事情で締結されたのか」、「その契約を締結することを決断するあたり、どのような判断を行ったのか」、といったことを書面化しておくということです。

顧客カード同様、フォーマットについては法的な決まり事はありません。

会議体であれば議事録、会議体でなければ稟議書といったスタイルをとることが多いと思います。

ただし、議事録や稟議書では細かな事項まで網羅されていない場合もありますので、案件毎に「業務記録」「取引記録」といった形を作ったほうがよいかもしれません。

担当者毎、あるいは部門毎に記録の精度がまちまちとなってしまうことは好ましくありませんので、会社として統一した書式、記載項目を定めたほうがよいでしょう。

また、担当者が作成した記録を部門長(上司)がチェックするとともに、内部管理部門やコンプライアンス部門もその内容を確認するような業務フローを作ることも重要です。

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特定投資家への告知義務

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2010-10-20 6:30

金融商品取引法は、投資家を保護するための様々なルールを定めています。

しかし、一口に投資家といっても、何千億円もの資金を運用する年金基金のようなプロフェッショナルもいれば、数十万、数百万円単位で株式や投資信託を購入する個人もいます。

これらを十把一絡げにして規制をするのは適当ではないため、金融商品取引法では投資家を「特定投資家」と「一般投資家」に区分し、前者に対する金融商品取引業者の行為規制を緩和しています。

これによって、顧客が特定投資家である場合には、金融商品取引業者の事務負担は大幅に少なくなります。


ただし、気をつけなければならないことがあります。

特定投資家のうち「金融商品取引法第79条の21に規定する投資者保護基金その他の内閣府令で定める法人」については、顧客の申出によって一般投資家に移行することができることになっています。

内閣府令で定める法人とは、次に掲げるものです。

  • 特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人
  • 法第79条の21に規定する投資者保護基金
  • 預金保険機構
  • 農水産業協同組合貯金保険機構
  • 保険業法第259条 に規定する保険契約者保護機構
  • 特定目的会社
  • 金融商品取引所に上場されている株券の発行者である会社
  • 取引の状況その他の事情から合理的に判断して資本金の額が5億円以上であると見込まれる株式会社
  • 金融商品取引業者又は法第63条第3項に規定する特例業務届出者である法人
  • 外国法人

※従前は「地方公共団体」も特定投資家でしたが、平成23年4月1日より一般投資家という取扱いになります。

さらに、金融商品取引業者は、これらの特定投資家に対して「一般投資家へ移行できること」について告知しなければなりません。

そのうえで、当該特定投資家から一般投資家への移行の申出があった場合には、予め下記の事項を記載した書面を当該特定投資家に交付しなければなりません。

(1)承諾日
(2)対象契約の属する契約の種類
(3)承諾日以後に対象契約の締結の勧誘又は締結をする場合において、当該申出者を特定投資家以外の顧客として取り扱う旨
(4)その他内閣府令で定める事項

一般投資家への移行申出があった場合には、金融商品取引業者はその申出を承諾しなければなりません。


「顧客が特定投資家だから何もしなくてよい」と考えるのは早計であり、上記のとおりの告知義務、そして移行申出があった場合の書面交付義務・承諾義務があることを忘れないようにしてください。

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コンプライアンス態勢はルール作りから

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2010-10-12 18:20

コンプライアンスというのは、単に法令を遵守することだけにとどまらず、社会から期待されている倫理的な責任(社会規範の遵守)を果たすことも含むとされています。

つまり、法令さえ守れば何をやってもよいということではなく、企業倫理の観点から一定の限界(やってはいけないこと)が存在するということです。

そこで、経営陣・従業員が守るべきルール(規程、マニュアル等)を定め、これを遵守する態勢を作ることが求められています。

ルールが抽象的なものであると、具体的な場面でどのように行動すべきかについての判断が人によってバラバラとなってしまいますので、誰が読んでも同じ判断ができるようにできる限り明確に定めることが大切です。

他社の規程や市販されている雛型をそのまま流用し、単にライセンス申請のための形式を整えるといったことも見受けられますが、当然このようなことは望ましくありません。

なぜなら、自社の商品・サービス、顧客、人員体制等と適合しないルールをそのまま流用しても、そのルールがきちんと守られることは期待できないからです。

ルールが絵に描いた餅であっては意味がありません。

ルールを作る以上は、必ず守ってもらわなければなりません。

そのためにも、法務担当者や外部のコンサルタントだけではなく、営業部門や管理部門等も一緒にルール作りを進めることが望ましいと思います。

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1:29:300

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2010-10-6 7:10

標題の1:29:300とは、ハインリッヒの法則(Heinrich's law)を表しています。

ハインリッヒの法則とは、

1件の重大事故・災害の影には、29件の軽微な事故・災害が潜んでいて、29件の軽微な事故・災害の影には、300件の「事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例」がある

というものです。


重大な事故が起きてしまうと、時にはその企業の存続に深刻な影響を与えてしまいます。

そのため、重大事故を未然に防ぐというのは経営にとって非常に重要な事柄であります。

このハインリッヒの法則に従えば、重大事故を防止するためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要ということになります。

 

コンプライアンス(法令遵守)の考え方もこれに通じるものがあります。

法令違反等の行為によって顧客に損失を与えたり、監督官庁から処分を受けたり、あるいは刑事罰を科せられることは、企業の存続に関わる重大な事故といえます。

しかし、そのような(重大な)法令違反行為が単発で行われているということはなく、トラブルになっていない(軽微な)法令違反行為がに行われていて、さらには違法とまでは言えなくても不適切な行為が日常的に行われている可能性があると考えられます。

逆にいえば、経営トップから末端の従業員(正社員のみならず、派遣社員、契約社員、アルバイト等も含む)に至るまで、コンプライアンス意識を浸透させることによって、結果的には重大な事故を未然に防ぐことにつながると考えられます。

それは単に「法令を守りましょう」とお題目を唱えるだけではなく、人間は必ずミスをする、あるいは時には悪事を働いてしまうこともある(これは決して性悪説ということではなく、完全・完璧な人はいないという当たり前の前提です。)という考えに立って、そのようなことが起きないような「仕組み」を作っていくということだと思います。

 

金融商品取引法の施行によって、不動産プレーヤーにとってもコンプライアンスを無視することはできなくなりました。

今まで良い意味で「勘と度胸」でやってきた世界ですから、やたら書類が増えたり、手続きに時間がかかったりすることに戸惑いを覚えていらっしゃる方も多いかと思います。

しかし、1回でも重大事故を起こしてしまうと二度とプレーができなくなってしまう可能性もあるわけですから、コンプライアンスについても前向きに捉えて頂き、業務の進め方等について今一度見直しをされてはいかがでしょうか。

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コンプライアンス態勢の構築を考えるうえで重要なキーワードとなるのが「社内記録」です。

法律に定められた義務を履行しているか、社内規程に定められたフローどおりに業務を行っているか、というようなことを第三者(主に当局)に対して明らかにするためには、単に契約書や契約締結前交付書面(重要事項説明書)等を保管しているだけでは足りません。

そのため、自らの業務の行跡(ぎょうせき)を外部の第三者にも理解できるような形で記録しておくこと…社内記録の整備…が重要となります。

不動産信託受益権の売買の媒介を行う第二種金融商品取引業者の場合、「顧客への対応が適切に行われているか」ということを後から検証できるような記録を残しておく必要があると考えます。

具体的にどのような内容・形で記録に残すべきかについては、それぞれの業者の組織体制や取扱商品・顧客属性等によって異なってきますが、以下に例を挙げてみます。

(1)顧客の氏名(商号)及び住所(所在)

 犯罪収益移転防止法に基づく本人確認を行うこととも当然必要ですが、下記(2)(3)を確認する前提として把握する必要があります。

(2)特定投資家か一般投資家か

 金融商品取引法では、投資家をプロ(特定投資家)とアマ(一般投資家)に区分して、前者に対する金融商品取引業者の行為規制を緩和しています。

 このため、顧客が特定投資家・一般投資家のいずれに該当するかを確認する必要があります。

 また、特定投資家のうち一定の者については一般投資家へ移行する旨を申し出ることが可能とされており、金融商品取引業者はこのような特定投資家に対して移行申出が可能である旨を告知する義務を負っています。

 そのうえで、移行申出がなされた場合には、一定の書面を予め交付することも義務付けられています。

 これらの対応が適切に行われているかについても、記録として残しておくべきでしょう。

(3)顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的

 金融商品取引法においては、「顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的」に照らして不適当と認められる勧誘をしてはならないという「適合性の原則」が定められています。

 このため、当該顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的を把握していることが前提となります。


金融商品取引業者としては、これらの記録を担当者任せにするのではなく、フォーマット(顧客カード)を統一したうえで一元管理することが望ましいと思います。

また、こうした記録作成というのは面倒だという意識が働くため、ついつい後回し、さらには失念してしまう危険性があります。

そのようなことが起きないためにも、記録(顧客カード)を作成しないと次のプロセスに進めないといったような形で業務フローに組み込み、記録作成を徹底させる仕組みを作ることも大切だと思います。

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韓非子とコンプライアンス

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2010-9-21 10:55

「性善説」と「性悪説」という2つの考え方があります。

性善説の代表が孔子であり、この影響で日本の社会は性善説をベースに成り立っている(成り立っていた)と言われています。

性善説の立場は、人間の本性は善であり、基本的には人間を信頼していこうという考え方といえます。


そのような考え方は甘い、理想主義だと批判するのが性悪説で、韓非子がその代表的な思想家です。

性悪説では、人間の本性は悪であり、しっかりとし規範をつくってこれを押さえ込まなければならないという立場をとります。

韓非子は、君主には「法」と「術」の2つが必要だといいます。

「法」とはその名のとおりで、法律・明文化されたルールのことであり、これに違反した者は厳しく処罰するということです。

「術」というのは、部下・人民の統制ノウハウのことであり、具体的には勤務評定などで業績・成果を評価することです。


性善説と性悪説のどちらが正しいとは一概にはいえないと思います。

物事の考え方・感じ方のベクトルが揃っているメンバーで構成されているグループ内においては、性善説に基づいてマネジメントするほうが上手くいくかもしれません。

しかし、グローバル化の進展によって異なる文化で生まれ育った者どうしが交わることが多くなった今、自分が当然に正しいと思うことが、相手が同じように考えるとは限りません。

国家どうし・企業どうしにおいても、また国家と市民(外国人を含む)の間においも、相互に誤解が生じないよう明確な取り決めやルールを定め、万一これに反した場合の処置・処罰についても予め定めておくことが重要になってきています。

企業におけるコンプライアンス態勢の構築というのも、この文脈で行われるものだと思います。


ただ、韓非子が「法」と「術」の2つが必要だと指摘しているのに対して、昨今のコンプライアンス対応というのは「法」の面ばかりが強調されているきらいがあるように見受けられます。

また、勤務評定に関しても、「今期の売上」に直接結びついた貢献ばかり評価し、企業の継続的発展に寄与するような行動を取った人に対する評価が適切になされていないようにも思われます。

ルール違反は厳しく咎められるのに、貢献に対して報いることが少ない(無い)組織だとしたら、果たしてそこで働いている人々のモチベーションやロイヤルティ(loyalty)が高まるでしょうか?

コンプライアンスは企業の継続的な発展のために取り組むものですので、単にルールを作って厳しく運用するだけではなく、そこで働く人々の働きがいが高まるような組織を作っていくことも重要な要素だと考えます。

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「売主が”●●●特定目的会社”というところなのですが、手付金を支払っても大丈夫ですかね?」

以前お客様からご質問を頂きましたので、これについての私の考えを書いてみようと思います。

まず「特定目的会社」とは何かというと、簡単に(乱暴に)言えば「不動産ファンド用のペーパーカンパニー」です。といっても怪しげなものではなく、「資産の流動化に関する法律」という法律に基づいて設立される法人です。

特定目的会社は、ある資産(たとえば不動産とか不動産信託受益権)を取得し、運用(賃貸する等)し、そして処分(つまり売却)すること(これを資産流動化業務といいます。)だけを目的とする会社です。「特定の目的のために設立される会社」=「特定目的会社」というわけです。

※ちなみにファンド業界では、特定目的会社のことを「TMK」と呼んでいます。これに対し、資産流動化法に基づかない証券化で用いられるペーパーカンパニーについては「SPC」と呼んで区別しています。

ペーパーカンパニーよりも実体のある会社のほうが信用できる、と思われるのは常識的かもしれません。しかし、大企業であっても債務超過の疑いのある会社は決して珍しくありませんし、急激に信用状況が悪化することもしばしば起きています。また、本業は順調であっても、新規事業や財務活動の失敗によって屋台骨が揺らぐこともあるわけです。

その点、特定目的会社への手付金の支払いは、以下の理由により必ずしも危険ではないと考えられます。

・特定目的会社は、資産流動化業務以外の業務を行うことが法律で禁止されています。したがって、全く関係の無い事業の失敗等によって財務状況が悪くなる危険性はありません。

・特定目的会社における資金調達は、優先出資、特定社債、特定目的借入等の方法に限られていて、これらについてはすべて資産流動化計画に記載のうえ、財務局に届け出ることが義務付けられています。

・特定社債や特定目的借入を行う場合、債権者(レンダー)との契約によって、レンダーの同意なく債務負担行為をすることが制限されているのが一般的であり、レンダー以外の債権者が存在することは殆どありません。そのため、レンダー以外の債権者の申立によって特定目的会社が破産する可能性は極めて低いと考えられます。

・特定目的会社が資産を処分する場合には、レンダーの事前同意を必要とされているケースが多く、レンダーは買主と売主との間の売買契約の存在を認識していることが通例で、仮に引渡し前にデフォルト(売主の利払いが滞ること)が発生した場合であっても、担保権を行使するよりも買主への売却をそのまま進めるほうが経済合理性があると判断する可能性が高いと考えられます。

もちろん、特定目的会社だから安全だということではありません。特に昨今は賃料収入で利払いができない案件も少なからず存在するわけで、レンダーの姿勢によっては今後特定目的会社の破産が起きないとは限りません。ただそれは特定目的会社特有のリスクではなく、一般の事業法人に対するリスクと同じレベルの話だと思います。
 

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第二種金融商品取引業者が不動産信託受益権(有価証券)の売買の媒介を行うに際しては、原則として以下の書面交付・説明をする必要があります。

(1) 契約締結前交付書面(金融商品取引法(金商法)第37条の3)
(2) 契約締結時交付書面(金商法第37条の4)
(3) 金融商品の販売等に関する法律(金販法)第3条に基づく説明
(4) 宅地建物取引業法(宅建業法)第35条第3項・第50条の2の4に基づく説明

これらの書面交付・説明義務については、顧客(相手方)が「特定投資家」である場合には適用されません(金商法第45条、金販法第3条第7号・同法施行令第10条第1項、宅建業法第35条第3項但書・同法施行規則第16条の4の4)。

「特定投資家」とは要するにプロの投資家ということですが、具体的には以下の者が該当します(金商法第2条第31項・同法第2条に規定する定義に関する内閣府令第23条)。

(1) 適格機関投資家
(2) 国
(3) 日本銀行
(4) 前三号に掲げるもののほか、第79条の21に規定する投資者保護基金その他の内閣府令で定める法人

【地方公共団体、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人、法第79条の21に規定する投資者保護基金、預金保険機構、農水産業協同組合貯金保険機構、保険業法第259条 に規定する保険契約者保護機構、特定目的会社、金融商品取引所に上場されている株券の発行者である会社、取引の状況その他の事情から合理的に判断して資本金の額が5億円以上であると見込まれる株式会社、金融商品取引業者又は法第63条第3項 に規定する特例業務届出者である法人、外国法人】

ところで、金商法第34条の3第1項には次の定めがあります。

『法人(特定投資家を除く。)は、金融商品取引業者等に対し、契約の種類ごとに、当該契約の種類に属する金融商品取引契約に関して自己を特定投資家として取り扱うよう申し出ることができる。』

これを俗に「プロ成り」といい、顧客(相手方)からこのような申出があった場合には、金融商品取引業者は当該顧客(相手方)を特定投資家として取り扱うことができます。そして、当該顧客(相手方)が特定投資家として取り扱われることになれば、前述の書面交付・説明義務は不要となります。ただし、金融商品取引業者が顧客(相手方)を特定投資家に誘導することは適合性の原則(金商法第40条)に反するおそれがありますので留意が必要です。

特定投資家への移行の具体的な流れは以下のとおりとなります。

(1) 顧客から金融商品取引業者へ「申出書」を提出
(2) 顧客から金融商品取引業者へ「同意書」を提出
(3) 金融商品取引業者から顧客へ「承諾書」を提出
(4) 金融商品取引業者から顧客へ「特定投資家への移行に関する書面」を提出

上記(1)の顧客からの申出に対し、金融商品取引業者が上記(3)の承諾をしたときは、承諾日以降、当該顧客は特定投資家とみなされます。したがって、これらの書面は顧客との間の媒介契約書、信託受益権売買契約書の締結日よりも前に作成、授受されている必要があります。

これとは反対に、顧客が特定投資家の場合には、特定投資家以外の者として取り扱うよう申し出ることができる旨を告知しなければなりません(金商法第34条)。具体的には「告知書兼確認書」を交付し、顧客より告知を受けた旨の確認印を受領しておく必要があります。

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宅地建物取引業法: 免許欠格事由

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2010-9-1 7:40

宅地建物取引業の免許を受けようとする者が、以下のいずれかに該当する場合には、免許を受けることができません。これらを欠格事由といいます。

【 5年間免許が受けられない場合 】

・免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をして免許を取り消された場合

・免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をした疑いがあるとして聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行った場合

・禁固以上の刑又は宅地建物取引業法違反等により罰金の刑に処せられた場合

・免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をいた場合


【 その他 】

・成年被後見人、被保佐人又は破産手続の開始決定を受けている場合(復権を得ていないもの)

・宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな場合

・事務所に専任の取引主任者を設置していない場合


赤字の部分に注目していただきたいのですが、たとえ過去に自己破産をしていたとしても、復権を得ていれば欠格事由にはあたりません。よく破産してから5年間は免許がおりないと誤解されている方がいらっしゃいますが、復権を得ていれば5年間という制限はありません。

また、昨今利用されることが多くなった「民事再生手続き」については欠格事由とされていません。

この点は宅地建物取引主任者の資格登録についても同様(宅地建物取引業法第18条第1項第3号)で、債務者の経済的再建を後押しするために欠格事由とされていないのでしょうね。

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近年、規模の大きな不動産の多くが「信託受益権」となっています。

「信託受益権」というのは「金融商品」の一種であり、「金融商品」を取り扱うのは「金融商品取引業者」のみに許されています。

そのため、信託受益権の売買の媒介(仲介)をするためには、「第二種金融商品取引業」の登録を受ける必要があります。

ところで、不動産の売買情報に関しては、現物不動産も信託受益権化されたものもあまり区別されずに情報が流通しているのが実態だと思います。

特に規模がそれほど大きくなく、仮に信託受益権であったとしても、購入者が信託継続を望まず、信託受益権売買と同時に信託が解除される方法で取引されることが多く、購入する側も金融商品を購入しているという意識は殆どないと思われます。

マーケットの実態はそうであっても、法律上は金融商品取引業の登録を受けた者でなければ媒介(仲介)をすることはできません。

しかし、中小の不動産業者にとって第二種金融商品取引業の登録というのは非常に高いハードルとなっており、多くの業者はそのハードルを乗り越えることができない状況です。

逆に言えば、第二種金融商品取引業の登録さえできれば、ビジネスチャンスが大きく広がることは間違いないのですが、ここに落とし穴があります。

実際には第二種金融取引業の登録をしていない業者(無登録業者)が客付けをしているにもかかわらず、形式上は第二種金融取引業者が媒介を行ったようにしておき、業者間で手数料(媒介報酬)を配分するというようなことが行われている、という話をよく耳にします。

はっきり言うと、これは無登録営業の幇助、あるは名義貸しにあたります。

金融当局にその事実が発覚した場合には、当該第二種金融商品取引業者は、業務停止等の処分を受ける可能性もあります。

それだけにとどまらず、無登録営業には刑事罰(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科)が科せられることになっていますので、あわせてご注意ください。

不動産信託受益権の売買の媒介を行うことができるのは、第二種金融商品取引業として登録を受けた者であり、名目如何にかかわらず、無登録業者が関与して報酬を受領することはできないことを肝に銘じてください。

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金融商品取引法の一部改正により、「金融ADR制度」が創設されました。

ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略称で、訴訟に代わる、あっせん・調停・仲裁等の当事者の合意に基づく紛争解決方法をいいます。

今年(平成22年)10月1日以降、金融商品取引業者は、登録を受けている業務の種別毎に、次のいずれかの対応をする義務が課せられます。

(1)指定ADR機関が存在する場合には、当該機関と手続実施基本契約を締結する義務

(2)指定ADR機関が存在しない場合は、苦情処理措置及び紛争解決措置を講ずる義務

今のところADR機関の指定の動きは無いようですので、(2)の対応が必要となると思われます。具体的には、苦情処理措置・紛争解決措置として、次の事項のうちの一つまたは複数を選択する必要があります。

(以下は「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」より抜粋)

(a)苦情処理措置

 ・苦情処理に従事する従業員への助言・指導を一定の経験を有する消費生活専門相談員等に行わせること
 ・自社で業務運営体制・社内規則を整備し、公表等すること
 ・金融商品取引業協会、認定投資者保護団体を利用すること
 ・国民生活センター、消費生活センターを利用すること
 ・他の業態の指定ADR機関を利用すること
 ・苦情処理を公正かつ的確に遂行できる法人を利用すること

(b)紛争解決措置

 ・裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に定める認証紛争解決手続を利用すること
 ・金融商品取引業協会、認定投資者保護団体を利用すること
 ・弁護士会を利用すること
 ・国民生活センター、消費生活センターを利用すること
 ・他の業態の指定ADR機関を利用すること
 ・紛争解決業務を公正かつ的確に遂行できる法人を利用すること

なお、苦情処理措置・紛争解決措置の内容については、業務の内容及び方法の記載事項とされていますので、10月1日以降に変更の届出をする必要があります。

さらに、「金融商品取引業協会、認定投資者保護団体を利用すること」を選択し、新たに金融商品取引業協会に加入し、または認定投資者保護団体の対象事業者となる場合、これらの事項は登録申請書の記載事項となっているため、2週間以内に変更届出が必要であることにも注意が必要です。

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現物不動産の売買においては、売買代金の支払いと引き換えに、対象不動産の「所有権」が売主から買主へ移転することになります。

これに対して信託受益権の売買は、売買代金の支払いと引き換えに、信託信託受益権という信託受託者(信託銀行)に対する「債権」が売主から買主に移転することになります。

つまり、信託受益権の売買というのは「債権譲渡」なのです。

債権譲渡があったことを第三者に主張する(対抗する)ためには、

・確定日付のある債務者への通知

または

・確定日付のある債務者の承諾

が必要となります(民法第467条、信託法第94条)。


信託受益権の場合、信託契約の中で信託受益権の譲渡には信託受託者の承諾が必要であると定められていることが殆どですので、実務上では売主・買主連名で「信託受益権譲渡承諾依頼書兼承諾書」を信託受託者に提出し、決済当日までに信託受託者の承諾印をもらうことが行われています。

なお、「確定日付」とは、その書面がその日付の時点で存在していたことの証拠となるもので、信託受益権の譲渡承諾の場合には、信託受託者が承諾印を捺した承諾書を公証人役場へ持っていき、日付の入ったハンコを捺してもらうのが一般的です。

ところで、信託受益権の移転(受益者の変更)があった場合には、信託目録の受益者を変更する登記が行われます。

しかし、上述のとおり信託受益権譲渡の対抗要件は「債務者への通知または債務者の承諾」ですので、たとえ受益者変更登記があったとしても、承諾書が無ければ対抗要件を具備しているとは言えないので注意が必要です。

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不動産ファンドでは、不動産そのものを直接保有するのではなく、信託受益権の形で保有することが多いと言われています。

信託が用いられる理由は幾つかありますが、主なものは次のとおりです。

(1)流通課税の軽減

 不動産の売買を行う場合には、所有権移転登記に係る登録免許税と不動産取得税が課せられますが、大形物件であるとそれだけで数百万、数千万円にもなってしまいます。これに対して信託受益権の売買の場合には、これらの流通課税が大幅に軽減されており、信託銀行に対する報酬を考慮しても有利であることが多いのです。

(2)不動産特定共同事業法の適用回避

 不動産への共同投資を行う場合、原則として不動産特定共同事業法が適用されますが、許可要件が厳しいため、ファンドにとっては利用しずらいと言われています。これに対して、不動産を信託受益権化した場合には同法の適用はないため、比較的柔軟にファンドを組成を行うことができるメリットがあります。

(3)担保設定の容易さ

 不動産に担保を設定する場合には「抵当権」を設定することになりますが、この場合には、対象となる土地・建物一つひとつに抵当権設定登記を行う必要があり、手間と費用(債権額に応じた登録免許税)がかかります。これに対して、信託受益権への担保設定は「質権」の設定によって行うことになりますが、受託者への通知・受託者からの承諾だけで済むため、手間も費用も殆どかかりません。

(4)その他

 信託銀行が受託をするにあたってデューデリジェンスを実施しているため、信託受益権になっているということは物件に問題が無いという証左であり、投資家にとって安心材料の一つになります。

このような理由から、不動産ファンドが信託を活用するようになり、その結果大型・中型物件の多くが信託受益権化されました。

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信託受益権売買について (1)信託とは

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執筆 : 
2010-7-13 9:34

近年、比較的規模の大きな不動産については、従来の実物(現物)の取引だけではなく、「信託受益権」の形で売買されることも広く行われるようになっています。

信託とは、他人のためにある財産を管理・運用・処分する仕組みです。

例えば、ある財産を所有しているAさんが、これをBさんのために管理・運用・処分を行うことを目的としてCさんに譲渡し、Cさんがその財産を管理・運用・処分を行った結果得られた経済的利益はBさんに給付される、というものです。この場合のAさんを「委託者」、Bさんを「受益者」、Cさんを「受託者」といいます。

受託者は、その財産(信託財産)の所有者・登記名義人となりますが、それは受益者の利益を図るため形式的に所有者・登記名義人になっているに過ぎません。そのため、信託財産は受託者の固有財産から独立した存在となるため、万一受託者が破産した場合であっても、受託者の債権者は信託財産を換価(競売)して債権回収をすることはできません。

受益者は、信託財産から得られる経済的利益を享受する権利を持つ者であり、実質的な所有者であるといえます。受益者が受託者に対して有する権利を「信託受益権」、あるいは単に「受益権」といいます。

「信託受益権」の売買は、受益者を変更するということであり、それだけでは信託財産の形式的な所有権は変動しません(所有者は受託者のまま)。その結果、現物不動産の取引と比較すると流通課税(登録免許税・不動産取得税)の負担が少なくて済むことになり、そのことが信託を活用する一つのメリットになっています。

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不動産の売買、または売買の代理・仲介を行う際には、取引当事者につき「本人確認」を行わなければなりません。

「本人確認」とは、顧客が実在する特定の人であることを明らかにし、現実に取引行為を行い、あるいは取引行為を行おうとしている相手方が顧客と同一であることを確かめることです。

本人確認の方法には幾つかありますが、ここでは「対面型」の取引の場合を取り上げます。

【顧客が個人の場合】

確認すべき事項は「氏名」「住居」「生年月日」です。

下記の書類を「提示」して頂くことで本人であることを確認します。

・取引を行う事業者との取引に使用している印鑑に係る印鑑登録証明書

・各種健康保険証

・国民年金手帳

・児童扶養手当証明書

・母子健康手帳

・身体障害者手帳

・外国人登録証明書

・住民基本台帳カード(氏名、住居、生年月日の記載のあるものに限る)

・旅券(パスポート)

・運転免許証 など

上記のほか、宅地建物取引主任者証など官公庁発行書類等で氏名、住居、生年月日の記載があり、顔写真が調布されているもの

【顧客が法人の場合】

確認すべき事項は「名称」「本店又は主たる事務所の所在地」です。

下記の書類を「提示」して頂くことで本人であることを確認します。

・法人についての登記事項証明書又は印鑑登録証明書

上記のほか、官公庁発行書類で、法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるもの


法人(会社)に関する本人確認は、法人(会社)についての存否等を確認するだけでなく、当該法人(会社)の代表者や担当者(現に取引の任に当たっている者)の本人確認が必要となります。

したがって、会社の履歴事項全部証明書・印鑑証明書の提示を受けるとともに、目の前にいる代表者あるいは担当者の本人確認資料(運転免許証等)も提示して頂かなければならないことに注意が必要です。


最後までお読み頂きありがとうございました。

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犯罪によって得た収益について、その出所を隠して正当な取引で得た資金にみせかけることをマネーロンダリング(資金洗浄)といいます。

このマネーロンダリングを防止することを目的として制定されたのが「犯罪収益移転防止法」です。

宅地建物取引業者については、「宅地もしくは建物の売買、またはその代理もしくは媒介」を行う場合にこの法律が適用されます。

(宅地建物取引業法とは異なり、「交換」、「交換の代理・媒介」、「賃借の代理・媒介」については適用がありません。)

具体的には、次の3つの義務があります。

(1)本人確認及び本人確認記録の作成・保存

 売買、または売買の代理・仲介を行う際には、取引当事者につき本人確認を行わなければなりません。
 そのうえで、本人確認記録を作成し、当該契約が終了した日から7年間保存しなければなりません。

(2)取引記録の作成・保存

 上記の取引を行った場合には、直ちに取引記録を作成し、取引の行われた日から7年間保存しなければなりません。 

(3)疑わしい取引の届出

 上記の取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあり、または顧客がマネー・ロンダリングを行っている疑いがあるなどと認められる場合には、すみやかに行政庁に届け出なければなりません。

 


最後までお読み頂きありがとうございました。

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消費者契約法と宅地建物取引業法

カテゴリ : 
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執筆 : 
2010-5-27 13:07

消費者契約法は、「事業者」と「消費者」との間で締結される契約(消費者契約)について、様々な規制をしています。

【 消費者に契約取消権 】

(1)重要事項についての「不実告知」 

(2)契約の目的となるものに関する「断定的判断の提供」

(3)重要事項または重要事項に関連する事項についての「不利益事の不告知等」

(4)不退去、監禁により消費者を「困惑」させた場合


【 消費者の利益を一方的に害する条項の無効 】

(1)事業者の損害賠償責任の免除(瑕疵担保責任の全部免除も含む)

(2)損害賠償の予定・違約金が平均的損害額を超える場合

(3)遅延損害金が年14.6%を超えるもの

(4)消費者の利益を一方的に害する条項


宅地建物取引業者は「事業者」に該当しますので、当然消費者契約法の適用があります。

一方で、宅地建物取引業者には宅地建物取引業法の適用も受けます。

消費者契約法は民法や商法の特別法ですが、民法と商法以外の法律と消費者契約法が適用される場合には、消費者契約法以外の法律が優先されることになっています(消費者契約法第11条第2項)。

そのため、宅地建物取引業者に対しては、宅地建物取引業法が優先して適用されることになります。

具体的には、消費者契約法においては、損害賠償の予定・違約金の額は「事業者に平均的に生ずる損害額」までしか認められていませんが、宅地建物取引法の規定が優先される結果、代金の2割(20%)まで請求することができます。

もっとも、昨今の判例は消費者を保護しようという傾向が強く、「違約金は信義則上手付金の倍額までしか認められない」とした裁判例(福岡高裁平成20年3月28日判決)も存在するため、必ずしも宅地建物取引業法で定める上限いっぱいの損害賠償が認められるとは限りませんので注意が必要です。

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今日からスタート

カテゴリ : 
ブログ
執筆 : 
2010-5-14 0:00

はじめまして。不動産法務サポートオフィスの中沢です。
まずは簡単に自己紹介をさせてください。

私は、昭和44年(1969年)・・・アポロ11号が月に行った年ですね・・・生まれの41歳、埼玉県大宮市(現さいたま市)の出身です。

大手不動産流通会社に7年間、外資系投資ファンドのアセットマネジメント会社に11年間それぞれ在籍しておりましたが、このたび不動産法務サポートオフィスを開業いたしました。

なお、詳細なプロフィールはこちらをご覧頂ければ幸いです。

今後このブログでは、不動産法務に関するトピックスをご紹介させて頂く予定です。固い話が多くなるかもしれませんが、できる限り分かりやすい説明を心がけたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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