宅地建物取引士

宅地建物取引士の業務処理の原則

宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければなりません(法第15条)。

信用失墜行為の禁止

宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはなりません(法第15条の2)。

知識及び能力の維持向上

宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければなりません(法第15条の3)。

宅地建物取引士の登録

試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができます。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、登録を受けることができません(法第18条)。 

  • 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
  • 成年被後見人又は被保佐人
  • 破産者で復権を得ないもの
  • 法第66条第1項第8号又は第9号に該当することにより宅地建物取引業免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から5年を経過しないもの)
  • 法第66条第1項第8号又は第9号に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に解散・廃業の届出があった者(宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から5年を経過しないもの
  • 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は解散・廃業の届出があった法人(合併、解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の前号の公示の日前60日以内に役員であった者で当該消滅又は届出の日から5年を経過しないもの
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 宅地建物取引業法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、傷害罪・現場助勢罪・暴行罪・凶器準備集合罪・脅迫罪・背任罪、暴力行為等処罰に関する法律違反により、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等
  • 法第68条の2第1項第2号から第4号まで又は同条第2項第2号若しくは第3号のいずれかに該当することにより登録の消除の処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者
  • 法第68条の2第1項第2号から第4号まで又は同条第2項第2号若しくは第3号のいずれかに該当するとして登録の消除の処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に登録の消除の申請をした者(登録の消除の申請について相当の理由がある者を除く。)で当該登録が消除された日から5年を経過しないもの
  • 法第68条第2項又は第4項の規定による禁止の処分を受け、その禁止の期間中にその者の申請により登録が消除され、まだその期間が満了しない者

登録の移転

宅地建物取引士の登録を受けている者は、当該登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときは、当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、当該登録をしている都道府県知事を経由して、登録の移転の申請をすることができます(法第19条の2)。

なお、事務禁止処分を受け、その禁止の期間が満了していないときは、登録の移転をすることはできません。

宅地建物取引士資格登録簿の登載事項と変更手続

宅地建物取引士資格登録簿の登載事項(法第18条第2項、施行規則第14条の2)

氏名
生年月日
住所
本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)及び性別
試験の合格年月日及び合格証書番号
宅地建物取引業の実務の経験を有する者である場合においては、申請時現在の当該実務の経験の期間及びその内容並びに従事していた宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号
法第18条第1項の規定により能力を有すると認められた者である場合においては、当該認定の内容及び年月日
宅地建物取引業者の業務に従事する者にあっては、当該宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号

宅地建物取引士は、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければなりません(法第20条)。

死亡等の届出

宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に掲げる者は、その日(1の場合は、その事実を知った日)から30日以内に、その旨を登録を受けている都道府県知事に届け出る必要があります(法第21条)。 

 事由届出義務者
死亡した場合相続人
成年被後見人又は被保佐人となった場合成年後見人・保佐人
その他の登録欠格事由に該当した場合本人

申請等に基づく登録の消除

都道府県知事は、次の各号の一に掲げる場合には、宅地建物取引士の登録を消除しなければならないとされています(法第22条)。

  • 本人から登録の消除の申請があったとき
  • 死亡等の届出があったとき
  • 死亡等の届出がなくてこれらに該当する事実が判明したとき
  • 不正の手段によつて試験を受け、又は受けようとしたことにより試験の合格の決定を取り消されたとき

宅地建物取引士証

宅地建物取引士の登録を受けている者は、登録をしている都道府県知事に対し、宅地建物取引士証の交付を申請することができます(法第22条の2第1項)。

宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、登録をしている都道府県知事が指定する講習で交付の申請前6か月以内に行われるものを受講する必要があります。ただし、試験に合格した日から1年以内に宅地建物取引士証の交付を受ける場合と、登録の移転に伴う新宅地建物取引士証の交付を受ける場合はこの限りではありません(法第22条の2第2項)。

宅地建物取引士証の有効期間は5年です(法第22条の2第3項)。なお、、登録の移転に伴う新宅地建物取引士証の有効期間については、従前の宅地建物取引士証の有効期間の残存期間となります(法第22条の2第5項)。

宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があつたときは、宅地建物取引士証を提示する必要があります(法第22条の4)。

専任の宅地建物取引士の設置義務

宅地建物取引業者は、事務所、案内所等に、一定割合の成年者である専任の宅地建物取引士を置く必要があります(法第31条の3第1項、施行規則第15条の5の3)。

事務所
(本店、支店等)

宅地建物取引業に従事する者5名につき1名以上
契約を締結し、又は契約の申込みを受ける
案内所等
1名以上

宅地建物取引業者は、上記に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が上記の規定に抵触するに至ったときは、2週間以内に上記の規定に適合させるため必要な措置を執らなければなりません(法第31条の3第3項)。

 

 

 

 

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