賃貸住宅管理業について

賃貸住宅管理業の定義

「賃貸住宅管理業」とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、次に掲げる業務を行う事業をいいます。

  1. 当該委託に係る賃貸住宅の維持保全(住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うことをいう。)を行う業務(賃貸住宅の賃貸人のために当該維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務を含む。)
  2. 当該賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務(ⅰに掲げる業務と併せて行うものに限る。)

「賃貸住宅」とは

賃貸借契約を締結し賃借することを目的とした、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分を指します。なお、「住宅」は、その利用形態として「人の居住の用に供する」ことを要件とされていることから、通常事業の用に供される事務所(オフィス)や倉庫等はこの要件に該当せず、「住宅」に該当しません。

「賃貸人から委託を受けて」とは

オーナーから明示的に契約等の形式により委託を受けているか否かに関わらず、本来賃貸人が行うべき賃貸住宅の維持保全を、オーナーからの依頼によりオーナーに代わって行う実態があれば、該当するものと考えられます。

「賃貸住宅管理業」とは

賃貸住宅の賃貸事業の収益の源泉である「居室」と、入居者が日常生活上使用する廊下等の共用部分(アパートの場合)を中心として、これに付随する設備等を含めた賃貸住宅の全体について、オーナーが本来事業経営をする上で求められる維持保全、家賃等の受領等の金銭管理といった管理業務について、オーナーから包括的に委託を受けて、場合によっては工事業者や清掃業者などを手配しながら、総合的に統括するものです。

「賃貸住宅管理業者」とは

登録を受けて賃貸住宅管理業を営む者を指し、「事業を営む」とは、営利の意思を持って反復継続的に賃貸住宅管理業を行うことをいい、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなります。

「管理業務」とは

賃貸住宅の賃貸事業の収益の源泉である「居室」と、入居者が日常生活上使用する廊下等の共用部分(アパートの場合)を中心として、これに付随する設備等を含めた賃貸住宅の全体について、事業経営をする上で求められる維持保全、家賃等の受領等の金銭管理といった業務を指します。

「賃貸住宅の維持保全を行う業務」とは

居室及び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分である、玄関・通路・階段等の共用部分、居室内外の電気設備・水道設備、エレベーター等の設備等について、点検・清掃等の維持を行い、これら点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うことをいいます。例えば、定期清掃業者、警備業者、リフォーム工事業者等が、維持又は修繕の「いずれか一方のみ」を行う場合や、エレベーターの保守点検・修繕を行う事業者等が、賃貸住宅の「部分のみ」について維持から修繕までを一貫して行う場合、入居者からの苦情対応のみを行い維持及び修繕(維持・修繕業者への発注等を含む。)を行っていない場合は、「賃貸住宅の維持保全を行う業務」には該当しません。

「家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務」とは

賃貸住宅管理業者が賃借人から受領した家賃、敷金、共益費等の金銭管理を指します。なお、金銭の管理を行う業務については、賃貸住宅のオーナーから委託を受けて、当該委託に係る賃貸住宅の維持保全を行うことと併せて行うものに限り、法第2条第2項に規定する賃貸住宅管理業に該当します。

賃貸住宅管理業の登録

賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受ける必要があります。

登録を要する事業の規模

登録が義務付けられる規模は200戸と定めており、管理戸数が一時的にでも200戸を超えた場合、その時点で登録を受けていなければ賃貸住宅管理業を営むことはできないことから、一時的にでも200戸を超える見込みがあれば、登録を受けることが適当です。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」

戸数の数え方については、入居者との間で締結されることが想定される賃貸借契約の数をベースとして数えるものとする。例えば、1棟の家屋のうち、台所・浴室・便所等を入居者が共同で利用する、いわゆる「シェアハウス」を1棟管理するケースにおいて、当該シェアハウスが10部屋から構成されており、そのうち4部屋を入居者が使用し、残りの6部屋が空室になっている場合でも、当該シェアハウスを管理する賃貸住宅管理業者の管理戸数は、10戸と数えるものとする。

経過措置

現に賃貸住宅管理業を営んでいる者は、この法律の施行日(2021年(令和3年)6月15日)から起算して1年間以内に賃貸住宅管理業の登録をする必要があります。

罰則

登録を受けずに賃貸住宅管理業を営んだとき、不正の手段により登録を受けたときは、その違反行為をした者に対して、1年以下の懲役目視は100万円以下の罰金、又はこれの併科という罰則があります。

登録拒否事由

国土交通大臣は、登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならないとされています。

  1. 心身の故障により賃貸住宅管理業を的確に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合にあっては、当該取消しの日前30日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む。)
  4. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  5. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  6. 賃貸住宅管理業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として国土交通省令で定めるもの(※1)
  7. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
  8. 法人であって、その役員のうちにⅰ~ⅵのいずれかに該当する者があるもの
  9. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  10. 賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者(※2)
  11. 営業所又は事務所ごとに業務管理者を確実に選任すると認められない者

※1「不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として国土交通省令で定めるもの」とは、以下のものを指します。

  1. 登録の取消事由に該当するとして登録の取消しの処分に係る聴聞の通知を受けてから、当該処分をする日又は処分をしないことの決定をするまでの間に、法人の解散の届出又は廃業の届出を行った者で、当該届出から5年を経過していない者
  2. 上記の期間内に、法人の合併による消滅の届出、法人の解散の届出又は廃業の届出を行った法人の役員

※2「国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎」とは、財産及び損益の状況が良好であることを指し、具体的には登録申請日を含む事業年度の前事業年度において、負債の合計額が資産の合計額を超えておらず、かつ、支払不能に陥っていない状態をいいます。

業務管理者

業務管理者の選任

賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、1人以上の業務管理者を選任して、当該営業所又は事務所における業務に関し、管理受託契約(管理業務の委託を受けることを内容とする契約をいう。)の内容の明確性、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性その他の賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければなりません。

賃貸住宅管理業者は、その営業所若しくは事務所の業務管理者として選任した者の全てが上記登録拒否事由のⅰ~ⅶのいずれかに該当し、又は選任した者の全てが欠けるに至ったときは、新たに業務管理者を選任するまでの間は、その営業所又は事務所において管理受託契約を締結することはできません。

業務管理者が管理・監督しなければならない事項

業務管理者に行わせるべき管理及び監督に関する事務として国土交通省令(施行規則)に定める事項は以下のとおりです。

  1. 法第13条の規定による書面(管理受託契約の締結前の書面)の交付及び説明に関する事項
  2. 法第14条の規定による書面(管理受託契約の締結時の書面)の交付に関する事項
  3. 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施に関する事項及び賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
  4. 法第18条の規定による帳簿の備付け等に関する事項
  5. 法第20条の規定による定期報告に関する事項
  6. 法第21条の規定による秘密の保持に関する事項
  7. 賃貸住宅の入居者からの苦情の処理に関する事項
  8. 前各号に掲げるもののほか、賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項

業務管理者の要件

業務管理者は、上記登録拒否事由のⅰ~ⅶのいずれにも該当しない者で、賃貸住宅管理業者の営業所又は事務所における業務に関し業務管理者に行わせるべき管理及び監督に関する事務を行うのに必要な知識及び能力を有する者として賃貸住宅管理業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備えるものでなければならないとされています。

国土交通省令(施行規則)で定める要件は、管理業務に関し2年以上の実務の経験を有する者又は国土交通大臣がその実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者で、次の各号のいずれかに該当するものであることとされています。

  1. 登録証明事業による証明を受けている者
  2. 宅地建物取引士で、国土交通大臣が指定する管理業務に関する実務についての講習を修了した者

業務管理者の専任性について

業務管理者は、他の営業所又は事務所の業務管理者となることができません。

業務管理者が宅地建物取引士も兼務する等他の業務を兼務することが法違反となるものではないですが、入居者の居住の安定の確保等の観点から賃貸住宅管理業者の従業員が行う管理業務等について必要な指導、管理、及び監督の業務に従事できる必要があります。

なお、宅地建物取引業を営む事務所における専任の宅地建物取引士が業務管理者を兼務している場合については、当該業務管理者としての賃貸住宅管理業に係る業務に従事することは差し支えないとされています(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。

登録の有効期間

登録の有効期間は5年です。

有効期間満了後も引き続き登録を受けようとする者は、有効期間満了日の90日前から30日前までに登録の更新申請を行う必要があります。

変更の届出

賃貸住宅管理業者は、次の各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出る必要があります。
  1.  商号、名称又は氏名及び住所
  2.  法人である場合においては、その役員の氏名
  3.  未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合にあっては、その商号又は名称及び住所並びにその役員の氏名)
  4.  営業所又は事務所の名称及び所在地

廃業等の届出

賃貸住宅管理業者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、その日(ⅰの場合にあっては、その事実を知った日)から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出る必要があります。
  1.  賃貸住宅管理業者である個人が死亡したとき その相続人
  2. 賃貸住宅管理業者である法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であった者
  3. 賃貸住宅管理業者である法人が破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人
  4. 賃貸住宅管理業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人
  5. 賃貸住宅管理業を廃止したとき 賃貸住宅管理業者であった個人又は賃貸住宅管理業者であった法人を代表する役員
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