特定賃貸借契約の適正化のための措置等

「特定賃貸借契約」とは

賃貸住宅の賃貸借契約(賃借人が人的関係、資本関係その他の関係において賃貸人と密接な関係を有する者として国土交通省令で定める者であるものを除く。)であって、賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいいます。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」

「特定賃貸借契約」とは、賃貸人と賃借人との間で締結される賃貸住宅の賃貸借契約であって、賃借人が、当該賃貸住宅を転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいい、ここで、事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することをいうものとする。なお、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなる。 このため、個人が賃借した賃貸住宅について、事情により、一時的に第三者に転貸するような場合は、特定賃貸借契約に該当しない。

人的関係、資本関係その他の関係において賃貸人と密接な関係を有する者

賃貸人が個人である場合

  • 当該賃貸人の親族
  • 当該賃貸人又はその親族が役員である法人
賃貸人が会社である場合
  • 当該賃貸人の親会社
  • 当該賃貸人の子会社
  • 当該賃貸人の関連会社
  • 当該賃貸人が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等
  • 当該賃貸人の子会社(当該賃貸人を除く。)
賃貸人が登録投資法人である場合
  • 当該登録投資法人の資産運用会社の関連会社
賃貸人が特定目的会社である場合
  • 当該特定目的会社の委託を受けて特定資産の管理及び処分に係る業務を行う者の関係会社
賃貸人が組合(組合員の間で不動産特定共同事業契約が締結されているものに限る。)である場合
  • 当該組合の業務執行者又は当該業務執行者の関係会社

賃貸人が不動産特定共同事業法第2条第9項に規定する特例事業者である場合

  • 当該特例事業者の委託を受けて当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う不動産特定共同事業者の関係会社又は当該業務を行う小規模不動産特定共同事業者の関係会社
賃貸人が賃貸住宅に係る信託の受託者である場合
  • 当該信託の委託者又は受益者の関係会社
  • 委託者等が登録投資法人である場合における当該登録投資法人の資産運用会社の関係会社
  • 委託者等が特定目的会社である場合における当該特定目的会社の委託を受けて特定資産の管理及び処分に係る業務を行う者の関係会社

特定転貸事業者とは

「特定転貸事業者」とは 特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者をいいます。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」

「特定転貸事業者」とは、特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者をいい、ここで、事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することをいうものとする。なお、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなる。

誇大広告等の禁止

特定転貸事業者又は勧誘者は、特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないとされています。

誇大広告等をしてはならない事項

  1. 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
  2. 賃貸住宅の維持保全の実施方法
  3. 賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
  4. 特定賃貸借契約の解除に関する事項

勧誘者とは

特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいいます。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」

「勧誘者」とは、特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいい、特定の特定転貸事業者と特定の関係性を有する者であって、当該特定転貸事業者の特定賃貸借契約の締結に向けた勧誘を行う者をいうものとする。

ここで、特定の特定転貸事業者と特定の関係性を有する者とは、特定転貸事業者から委託を受けて勧誘を行う者が該当するほか、明示的に勧誘を委託されてはいないが、特定転貸事業者から勧誘を行うよう依頼をされている者や、勧誘を任されている者は該当し、依頼の形式は問わず、資本関係も問わないものとする。特定の関係性を有する者であるかどうかは、客観的に判断すべきものであり、たとえ勧誘者が、自分は自発的に勧誘を行っており、特定転貸事業者が勧誘を行わせている者でないと主張したとしても、勧誘者に係る規制の適用を免れるものではない。また、勧誘者が勧誘行為を第三者に再委託した場合は、当該第三者も勧誘者に該当する。

また、ここでいう「勧誘」とは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の特定賃貸借契約を締結する意思の形成に影響を与える程度の勧め方をいい、個別事案ごとに客観的に判断されるものとする。

例えば、特定の特定転貸事業者との特定賃貸借契約を締結することを直接勧める場合のほか、特定の特定転貸事業者との特定賃貸借契約のメリットを強調して締結の意欲を高めるなど、客観的に見て特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の意思の形成に影響を与えていると考えられる場合も勧誘に含まれるが、契約の内容や条件等に触れずに単に事業者を紹介する行為は、これに含まれないと考えられる。

不当な勧誘等の禁止

特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならないとされています。

  1.  特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
  2. 特定賃貸借契約を締結若しくは更新させ、又は特定賃貸借契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者を威迫する行為
  3. 特定賃貸借契約の締結又は更新について相手方等に迷惑を覚えさせるような時間に電話又は訪問により勧誘する行為
  4. 特定賃貸借契約の締結又は更新について深夜又は長時間の勧誘その他私生活又は業務の平穏を害するような方法により相手方等を困惑させる行為
  5. 特定賃貸借契約の締結又は更新をしない旨の意思(当該契約の締結又は更新の勧誘を受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示した相手方等に対して執ように勧誘する行為

特定賃貸借契約の締結前の書面の交付

特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明する必要があります。

特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者

特定賃貸借契約の賃貸人が以下に該当する場合には、書面交付及び説明は不要です。

  1. 特定転貸事業者
  2. 宅地建物取引業者(宅地建物取引業者とみなされる信託会社、信託銀行、登録投資法人及び特例事業者を含む。)
  3. 特定目的会社
  4. 組合
  5. 賃貸住宅に係る信託の受託者(委託者等がⅰ~ⅳのいずれかに該当する場合に限る。)
  6. 独立行政法人都市再生機構
  7. 地方住宅供給公社

説明事項

  1. 特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所
  2. 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
  3. 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
  4. 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
  5. 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
  6. 特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
  7. 損害賠償の予定又は違約金に関する事項
  8. 責任及び免責に関する事項
  9. 契約期間に関する事項
  10. 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
  11. 転借人に対するⅳに掲げる事項の周知に関する事項
  12. 特定賃貸借契約の更新及び解除に関する事項
  13. 特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項
  14. 借地借家法その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要

電磁的方法による提供

特定転貸事業者は、書面の交付に代えて、当該特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなされます。

特定賃貸借契約の締結時の書面の交付

特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結したときは、当該特定賃貸借契約の相手方に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければなりません。

記載事項

  1. 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
  2. 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項
  3. 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
  4. 契約期間に関する事項
  5. 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
  6. 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
  7. 特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所
  8. 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
  9. 特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
  10. 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
  11. 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
  12. 転借人に対するⅲに掲げる事項の周知に関する事項
  13. 特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項

電磁的方法による提供

特定転貸事業者は、書面の交付に代えて、当該特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなされます。

書類の閲覧

特定転貸事業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類(業務状況調書、貸借対照表及び損益計算書又はこれらに変わる書面)を、特定賃貸借契約に関する業務を行う営業所又は事務所に備え置き、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の求めに応じ、閲覧させなければならないとされています。

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