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民法改正による不動産取引への影響(7)債務不履行による契約の解除と損害賠償

カテゴリ : 
ブログ
執筆 : 
2015-5-21 7:00
現行法では、債務不履行が成立した場合、債権者は債務者に対して、損害賠償の請求(第415条)ができるとしていますが、債務不履行が成立するための要件として、履行遅滞や履行不能が債務者の責めに帰することができる事由(故意・過失)によって生じていることが必要とされています。
 
また、債務不履行が成立した場合、債権者は、契約の解除(第541条〜第543条)をすることもできますが、契約の解除においても債務者の帰責性が要求されています。
 
今回の改正案では、契約の解除については、債務者の帰責性を要件から外し、帰責性については損害賠償請求の要件としています。
 
上記のことはどちらかというと学問的な話ですので、実務への影響は少ないと思います。
 
しかし、履行遅滞による解除(催告による解除)については、不履行が軽微の場合には契約の解除が認められないことが明記されたことに注意が必要です(改正案第541条但書)。
 
「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」という文言が加わっていることに注意が必要です。
 
附随的義務の履行を怠ったにすぎないような場合には契約を解除することができないというのは、従前の判例(最高裁昭和36年11月21日判決)と変わりませんが、それが法律で明記されたことにより、たとえば債権者が契約の解除を主張した場合に、債務者側が軽微な不履行である(ので契約の解除は認められない)と主張しやすくなる可能性があります。
 
このため、契約書において契約解除事由を単に「本契約に違反した場合」とするのではなく、具体的にどのような場合に契約解除権が生じるかを明確にしたほうが、トラブル防止の観点から望ましいと思われます。
 
【現行】
(債務不履行による損害賠償)
第415条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
 
(履行遅滞等による解除権)
第541条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
 
(定期行為の履行遅滞による解除権)
第542条  契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、前条の催告をすることなく、直ちにその契約の解除をすることができる。
 
(履行不能による解除権)
第543条  履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
【改正案】
(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償を請求することができる。
 一 債務の履行が不能であるとき。
 二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
 
(催告による解除)
第541条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
  
(催告によらない解除)
第542条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
 一 債務の全部の履行が不能であるとき。
 二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
 四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
 五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
 一 債務の一部の履行が不能であるとき。
 二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 
(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第543条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前2条の規定による契約の解除をすることができない。
 
 
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