不動産特定共同事業法の改正

 平成25年(2013年)12月20日、改正不動産特定共同事業法が施行されました。

 今回の改正のポイントは、倒産隔離型の不動産特定共同事業スキームが構築できるようになった点であり、不動産ファンドビジネスに新たな動きが出てくることが期待されています。

 

投資家から集めた資金により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる利益の分配を行うこと(不動産ファンド)を「不動産特定共同事業」といい、これを行うためには許可が必要です。

 ところが、不動産特定共同事業の許可要件は、資本金が1億円以上、専門知識を有する者(業務管理者)を事務所毎に置くこと等とされていたため、案件毎に組成するSPCがこうした要件を満たすことは困難でした。このため、わざわざ投資物件を現物不動産から不動産信託受益権に変換し、不動産特定共同事業法の適用を回避することが行われてきました。(近年不動産信託が広く利用されることになった理由の一つです。)

 今回の改正では、不動産特定共同事業者に業務を委託することにより、SPC自体は許可を得る必要がなくなり、現物不動産のままファンドを組成することが可能になりました。

 

【改正のポイント】

  •  不動産を保有するSPC(特例事業者)は許可不要(ただし、届出は必要)
  • SPCへ出資する投資家はプロに限定(特例投資家)
  • 特例投資家の範囲が拡大され、金融商品取引法上の特定投資家(適格機関投資家、上場会社等)も含まれる
  • 特例事業者は、不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を、不動産特定共同事業者(第三号事業者)に委託しなければならない
  • 特例事業者は、不動産特定共同事業者の締結の勧誘の業務を不動産特定共同事業者(第四号事業者)に委託しなければならない
  • 第三号事業者の資本金要件は5000万円とされている
  • 第四号事業者の資本金要件は1000万円とされており、また金融商品取引法の「第二種金融商品取引業者」の登録をしていることが要件とされている
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