事業報告書の提出と説明書類の公衆縦覧

事業報告書の提出
 
金融商品取引業者は、事業年度ごとに「事業報告書」を作成し、毎事業年度経過後3か月以内に内閣総理大臣(実務的には管轄している財務局)に提出しなければならないとされています(金融商品取引法第46条の3、第47条の2)。
 
事業報告書については様式が定められており、これに従って作成することになります。
 
【記載項目】
 
1.業務の状況
  • 登録年月日及び登録番号
  • 行っている業務の種類
  • 苦情処理及び紛争解決の体制
  • 加入している投資者保護基金、金融商品取引業協会及び金融商品取引所並びに対象事業者となっている認定投資者保護団体
  • 当期の業務概要
  • 株主総会決議事項の要旨
  • 役員及び使用人の状況
  • 営業所の状況
  • 株主の状況
  • 業務の状況
  • 自己資本規制比率の状況
  • 分別管理の状況
  • 区分管理の状況
  • 特定有価証券等管理行為に係る分別管理の状況
  • 自ら行った委託者指図型投資信託及び外国投資信託の受益証券等の募集等に係る業務の状況
  • みなし有価証券の売買等の状況
  • 有価証券に関連しない市場デリバティブ取引及び外国市場デリバティブ取引の状況
  • 令第1条の12に掲げる業務の状況
  • 投資運用業に係る経営の状況
  • 投資一任契約に係る業務の状況
  • 投資信託、外国投資信託及び投資法人に関する運用に係る業務の状況
  • 法第2条第8項第15号に掲げる行為に係る業務の状況
  • 適格投資家向け投資運用業等の状況
  • 投資助言業務の状況
2.経理の状況
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 附属明細表
なお、事業報告書の様式については改正されることが多いので、必ず最新の様式を入手して作成するようにしてください。
 
 
説明書類の縦覧
 
 金融商品取引業者は、事業年度ごとに、説明書類(第一種金融商品取引業者以外については事業報告書)を作成し、毎事業年度経過後4か月を経過した日から1年間、これをすべての営業所または事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならないとされています (金融商品取引法第46条の4、第47条の3)。
 
「公衆」とは、顧客等に限らず社会一般の人々のことを指し、「縦覧」とは書類などを誰でも自由に見ることができる状態にすることを言います。
 
事業報告書の提出はしていても、この公衆縦覧に供することまではしていない業者が見受けられます。しかし、臨店検査が入った際に検査官にすぐに指摘されてしまう部分でもありますので、忘れずに対応しておきましょう。
 
罰則
 
事業報告書を提出せず、または虚偽の記載した報告書を提出した場合、説明書類(事業報告書)を公衆の縦覧に供せず、または虚偽の記載をした説明書類を公衆の縦覧に供した者は、1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています(金融商品取引法第198条の6第4号・第6号)。
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