信託受託者の更迭

 「受託者の更迭」とは、受託者を変更する(交代させる)ということです。

 
受託者に何か不手際があったとかとは関係なく、当事者間の合意で変更することが可能です。
 
実務上では、受益者(委託者)、現受託者及び新受託者の三者間契約(受託者変更契約)を締結することによって、受託者を変更することが行なわれています。
 
 
受託者更迭(変更)は、信託受益権の譲渡に関連して行われることが多いです。
 
ここで、受託者を変更したうえで受益権譲渡を行うのか(前更迭)、受益権譲渡後に受託者変更をするのか(後更迭)、ということが問題となります。
 
受託者変更がもっぱら買主の都合によるケースでは、売主としては受託者変更は譲渡後に行うことを希望するものです。
 
面倒な手続きに関わりたくないというのもありますし、自らの手で受託者を更迭(変更)する形になることを望まないという心情的なものもあります。
 
 
しかし、現受託者の立場としては、受託者変更をするのであれば譲渡前にして欲しいと考えているのが一般的です。
 
なぜなら、すぐに受託者変更が行われることが分かっているのに、煩雑な受益権譲渡の手続きをしたくはないからです。
 
 
受託者変更の有無にかかわらず、受益権が譲渡される際には、従前のマスターリース契約やプロパティマネジメント契約を承継するのか、それとも解約するのかということが問題となります。
 
これに受託者変更が絡んでくると、これらの契約の解除を受託者変更前に行うのか、いったん新受託者が承継したうえで解除するのか、といったことも議論する必要がでてきます。
 
それぞれの当事者にとっての法的リスク(の解釈)や事務負担が絡むので、調整に時間がかかるケースも少なくありませんので、取引のスケジュールを組む際には留意しておきたいところです。
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