2011年

ブログ更新: 造作買取請求権

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造作買取請求権

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 建物の賃貸借契約が終了した際に、賃借人(テナント)が建物に付加した物(造作)の取扱いを巡ってトラブルとなることがあります。

 
借地借家法では、一定の場合に賃借人が賃貸人に対して当該造作を時価で買い取るべきことを請求できると定めています。
 
(造作買取請求権)
第三十三条  建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2  前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
 
 
造作とは、建物に設置されたもの(動産)のうち、容易に取り外すことができず、かつ建物の価値を増大させるものです。
 
容易に取り外すことができないとはいえ、建物と一体化しているわけではなく、建物とは別個のもの(動産)が造作であり、間仕切り、吊戸棚、雨戸、空調設備等がこれに該当します。
 
造作買取請求権の対象となるのは、「賃貸人の同意を得て建物に付加した」造作に限られます。
 
したがって、賃貸人の同意を得ずに付加したものについては買取請求をすることができず、賃借人は付加したものを取り外したうえで賃貸人に建物を返還しなければなりません。
 
 
なお、造作買取請求権については当事者の合意で排除することができます。
 
トラブルになりやすいところですので、賃貸借契約書にその旨をしっかりと明記しておくことが重要です。

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隣地境界線からの距離

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隣の土地との境界線ギリギリのところに建物を建ててしまうと、採光や通風に影響が生じるほか、建物の建築・修繕等の場合に隣地に立ち入る必要がでてくるなどの問題がでてきます。

そのため、民法では「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない」と定めています(民法第234条第1項)。

新たに建物を建てるときはもちろんのこと、中古建物の売買・売買の仲介をする際にも、現状の建物が境界線から50センチメートル以上の距離を保っているかどうかを確認しておくべきです。

(ただし、建築に着手した時から一年を経過し、またはその建物が完成した後は、隣地所有者は損害賠償の請求のみをすることができます。)


ところで、建築基準法第65条では「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる」と規定されています。

民法というのは私人間の権利関係を調整するための法律であり、一方の建築基準法は公益のために一定の建築行為を規制する法律であり、両者はそれぞれ目的を異にするものです。

この点について最高裁判所は、建築基準法第65条は民法の特則であると判断しています(最高裁平成元年9月16日判決)。

したがって、防火・準防火地域内で外壁が耐火構造である建物であれば、隣地境界線との距離が50センチメートル未満であっても問題はないことになります。

とはいえ、建築の際に隣地との間でトラブルになることは少なくありませんので、建築に着手する前に隣地所有者等への説明を十分に行い、理解を得ておくことが必要であることは言うまでもありません。


※判決文一部抜粋

建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当である。

けだし、建築基準法六五条は、耐火構造の外壁を設けることが防火上望ましいという見地や、防火地域又は準防火地域における土地の合理的ないし効率的な利用を図るという見地に基づき、相隣関係を規律する趣旨で、右各地域内にある建物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができることを規定したものと解すべきであって、このことは、次の点からしても明らかである。

すなわち、第一に、同条の文言上、それ自体として、同法6条1項に基づく確認申請の審査に際しよるべき基準を定めたものと理解することはできないこと、第二に、建築基準法及びその他の法令において、右確認申請の審査基準として、防火地域又は準防火地域における建築物の外壁と隣地境界線との間の距離につき直接規制している原則的な規定はない(建築基準法において、隣地境界線と建築物の外壁との間の距離につき直接規制しているものとしては、第一種住居専用地域内における外壁の後退距離の限度を定めている54条の規定があるにとどまる。)から、建築基準法六五条を、何らかの建築確認申請の審査基準を緩和する趣旨の例外規定と理解することはできないことからすると、同条は、建物を建築するには、境界線から50センチメートル以上の距離を置くべきものとしている民法234条1項の特別を定めたものと解して初めて、その規定の意味を見いだしうるからである。

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信託受益権売買に関する広告等の規制(その3)

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 前回に引き続き、信託受益権売買に関する広告等に表示すべき事項をみていきます。

 
 
「リスク関連情報」とは、次の内容を指します。
 
顧客が行う金融商品取引行為について金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として損失が生ずることとなるおそれがある場合にあつては、次に掲げる事項
 
イ 当該指標
ロ 当該指標に係る変動により損失が生ずるおそれがある旨及びその理由
 
前号の損失の額が保証金等の額を上回ることとなるおそれ(「元本超過損が生ずるおそれ」)がある場合にあつては、次に掲げる事項
 
イ 前号の指標のうち元本超過損が生ずるおそれを生じさせる直接の原因となるもの
ロ イに掲げるものに係る変動により元本超過損が生ずるおそれがある旨及びその理由
 
 
なかなかわかりずらいですよね。
 
不動産信託受益権の場合、その財産的価値は信託財産である不動産の価格とほぼ同じと考えられますので、「信託財産たる不動産の価格の変動」を直接の原因として損失が生じるおそれがあるといえます。
 
(記載例)
信託受益権は、信託財産である不動産価格の変動によって価格が変動し、投資元本を割り込むリスクがあります。不動産価格は、所在するエリアの人口や新規供給物件数の増減、金利・為替の変動、税制変更、地震等の災害による滅失・毀損、経年劣化、土壌汚染等の隠れた瑕疵の発見等の影響によって変動します。
 
なお、上記はあくまでも一般的な記載例であり、物件によってリスクの内容は異なりますのでご留意ください。

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全国賃貸住宅新聞に大阪セミナーが取り上げられました

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 全国賃貸住宅新聞2011年4月25日号に、株式会社トラスティジャパン主催のセミナーに関する記事が掲載されています。

 

 

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ブログ更新: 信託受益権売買に関する広告等の規制(その2)

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信託受益権売買に関する広告等の規制(その2)

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 前回に引き続き、信託受益権売買に関する広告等の規制についての話です。

 
広告等に表示すべき事項は、法律に定められています(金融商品取引法第37条)
 
  • 金融商品取引業者の名称
  • 金融商品取引業者である旨及び登録番号
  • 顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもので政令で定めるもの
 
「顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」としては、次のものが挙げられます。
 
  • 手数料関係情報
  • リスク関係情報
  • 金融商品取引契約に関する重要な事項について顧客に不利益となる事実
  • 金融商品取引業協会に加入している場合は、その旨及び名称
 
「手数料関係情報」とは、顧客が支払うべき手数料などの対価の種類ごとの金額(上限額)または計算方法の概要と、当該金額の合計額(上限額)または計算方法の概要とされています。
 
 信託受益権売買に即して考えると、売買代金以外で買主が負担することとなる手数料等としては次のものが挙げられます。
(ただし、下記はあくまで例示であり、具体的案件によってはこれ以外の費用が必要となる場合があります。)
 
  • 媒介報酬
  • 信託報酬(受託時報酬、管理報酬、処分時報酬等)
  • 各種契約書に貼付する収入印紙代
  • 登記費用(登録免許税、司法書士報酬等)
  • 固定資産税等精算金
  • デューデリジェンス費用
 
 
この続きは次回に。

 

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「住宅新報」に大阪セミナーが取り上げられました

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 当事務所代表が講師を務めることになっているセミナー「基礎から学ぶ不動産ファンドと信託の仕組み」(主催:株式会社トラスティジャパン)が、住宅新報(2011年4月19日号)に掲載されました。

 

このセミナーへのお申込みは下記ホームページまで。

→ 基礎から学ぶ「不動産ファンド」と「信託」の仕組み

 

 

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ブログ更新: 信託受益権売買に関する広告等の規制(その1)

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信託受益権売買に関する広告等の規制(その1)

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 信託受益権の売買に関する広告等を行う際には、金融商品取引法の規制に留意する必要があります。

 
金融商品取引業者は、金融商品取引業の内容について広告その他これに類似する行為をするときは、一定の事項を表示しなければなりません。
 
金融商品取引法に広告についての定義はありませんが、パブリックコメントに対する金融庁の回答では、「一般的に広告とは、随時又は継続してある事項を広く(宣伝の意味も含めて)一般に知らせることをいうと考えられます」とされています。 
 
また、広告に類似する行為については内閣府令第72条に定義されていて、「郵便、信書便、ファクシミリ装置を用いて送信する方法、電子メールを送信する方法、ビラ又はパンフレットを配布する方法その他の方法により多数の者に対して同様の内容で行う情報の提供」となっています。
 
上記を踏まえると、新聞広告、折込チラシ、ダイレクトメール、ウェブ広告やポータルサイトへの掲載等については、当然規制の対象になることがわかります。
 
ところで、実務では「物件紹介書」「物件概要書」等というような形で顧客へ情報提供をすることが多いですが、これについては広告規制の対象になるでしょうか?
 
前掲のパブリックコメントに対する金融庁の回答では、「単独の顧客のみを対象として行われる当該顧客に即した情報の提供については、当該行為が個別の販売・勧誘と考えられることから、広告等規制の対象にならないと考えられますが、多数の者に対して同様の内容で情報の提供が行われる場合については、投資者に対する適切な情報提供を担保する観点から、広告等規制の対象とすることが適当と考えられます」とされています。
 
ある一人のお客様のためだけに物件紹介書を作成する、ということは通常あり得ませんから、広告規制に則った形で作成するべきだと考えます。
 
 
(次回に続きます。)

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